202510~ 育児関連の「個別」対応とは

令和7年10月から、改正育児介護休業法にて、育児に関して個別の意向聴取と配慮の義務が課されます。

既に、妊娠申出に対して育児休業を「個別に周知して、意向確認を行う」ことが義務化されており、同じような内容で混乱しますが、「個別周知・意向確認」≠「個別の意向聴取」なのです。改正後の育児介護休業法21条の条文をみてみましょう。

第1項
事業主は、労働者が当該事業主に対し、当該労働者又はその配偶者が妊娠し、又は出産したことその他これに準ずるものとして厚生労働省令で定める事実を申し出たときは、厚生労働省令で定めるところにより、”当該労働者に対して、育児休業に関する制度その他の厚生労働省令で定める事項を知らせる”とともに、≪育児休業申出等に係る当該労働者の意向を確認するための面談その他の厚生労働省令で定める措置を講じ≫なければならない。
” ”部分が個別周知
≪ ≫部分が意向確認
第2項
事業主は、前項の措置を講ずるに当たっては、厚生労働省令で定めるところにより、『同項の規定による申出に係る子の心身の状況又は育児に関する当該申出をした労働者の家庭の状況に起因して当該子の出生の日以後に発生し、又は発生することが予想される職業生活と家庭生活との両立の支障となる事情の改善に資するものとして厚生労働省令で定める就業に関する条件に係る当該労働者の意向を確認』しなければならない。
『 』部分が個別の意向聴取
第3項
事業主は、前項の規定により【意向を確認した労働者に係る就業に関する条件を定めるに当たっては、当該意向に配慮】しなければならない。
【 】部分が配慮
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 第二十一条(令和7年10月1日施行)

妊娠申出時を例にとると、法が想定する手順としては以下になるでしょうか。

①お子さんとご家庭の状況から家庭と仕事の両立が難しい事情が改善されるだろうと定義された省令内容(始業及び終業の時刻、就業の場所、育児休業ほか両立支援措置の利用期間、その他事情が改善され得る就業の条件)についての意向を聴く

②確認した意向に配慮できるか検討し、できるなら配慮する(それを伝える)

③育児休業に関する制度(と申出先、雇用保険の給付、社保料)を知らせる

④制度に対する意向を確認する面談その他(書面、希望があればメールorFAX)の実施

妊娠申出時について、③の知らせる内容については育児休業の制度しか義務とされていませんが、その前に就業に関する意向を確認しているため、会社の他の両立支援策(育児短時間勤務や、他の労働時間制との組み合わせなど)を知らせるべきでしょうし、Q&Aではその方が望ましい、とされています。

3歳直前(1歳11か月の誕生日応当日の翌日から2歳11か月の誕生日まで)にも、同じような流れで、3歳以降の両立支援策について①~④の流れで知らせて「個別周知・意向確認」「個別の意向聴取」を行うことが必要です。