2022年3月時点の情報です
ハラスメント防止措置義務と内部通報窓口の運用
法改正によりパワーハラスメント防止の措置義務が2020年6月(中小企業は2022年4月)から課されました。ハラスメント行為を行わないよう研修を導入する企業も増えていると思います。相談窓口の設置も求められていますが、初動対応を誤らないためには対応の準備が必要です。どんな行為がハラスメントに該当するのかは事案ごとに判断していくしかありませんが、先入観や情報収集不足は調査結果ひいては判断に影響してしまいます。労務相談では全社での意識共有、啓蒙などを含めて進め方を検討します。
また、2022年6月までに施行される公益通報者保護法での内部通報体制の措置義務も含めて考えておく必要があります。通報対象となる法令には、パワハラ措置義務を課す労働施策総合推進法も含まれています。内部通報窓口と切り分ける方がよいのかどうか、企業内で整理が必要となります。
70歳までの継続雇用制度の設計
企業の雇用義務が60歳から65歳に延び、2021年4月からは70歳までの就業機会確保の努力義務が課されました。定年後10年間の期間ともなると、企業としては制度設計の見直しを余儀なくされます。無期転換との関係は、賃金の設計はこのままでよいのか、、、、。
また、企業側の健康配慮が、高齢の方により長く働いてもらうことに役立つのであれば、健康経営の観点からも施策を整理する必要があります。企業の業務や社風に応じて、どのような内容が合っているのか検討します。
長時間労働・過労死への対策
2019年施行の働き方改革推進法により時間外・休日労働の規制が厳しくなりました。複雑な計算ロジックに応じた労働時間管理が企業においてできなければ、違法状態というリスクは残ります。また、労働時間の把握も原則すべての従業員が対象になり、自己申告制のリスクは?、労働時間の乖離はどのように調査をする?、テレワークや在宅労働の問題点は?など、企業が整理したい課題は山積みです。企業の今後の運営方針にあった方法を一緒に模索します。
2021年9月には、脳・心臓疾患の労災認定基準が見直され、長時間労働以外の要因も労災認定に影響することが明示されました。手を付けるべきは労働時間の対策に加えて、労働者のストレスの把握にも及んでいます。
均等均衡待遇への対応
同一労働同一賃金と呼ばれていますが、パート・有期労働者の均等均衡待遇義務が中小企業へ2021年4月から課され、これで企業規模関係なく義務化されました。(派遣労働者の均等機能待遇は2020年度から施行されています。)法律には「職務内容」が記載されたため、職務給にしなくてはいけないのかと焦る企業もありますが、何を選択するのかは企業の裁量です。
また、均等均衡待遇を争う裁判例が蓄積されつつありますが、あくまでもその企業の事情にて争ったものであり、一律には解釈できません。義務化された待遇の説明をするところから、気を引き締めて備える必要があります。当事務所では、企業の現在の業務を比較しながら、どのような区分が企業に合っているか一緒に模索します。
不妊治療と仕事の両立支援
不妊治療により仕事を断念する方がいらっしゃいます。国は、働きながら不妊治療を受ける従業員へのご理解を企業に求めていますが、企業で運用する際には制度として設計する必要があります。不妊治療の理解から、どこまで企業で対応できるのか、どのような制度にするのかのお手伝いをします。