令和4年10月1日から新たに社会保険の適用となった事業とは
個人事業の社会保険の適用については、厚生年金保険法第6条第1項、健康保険法第3条第3項にぞれぞれ定められており、第201回国会で「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律案」(衆議院へのリンク)が可決され、令和4年10月から以下のように施行されています。(以下は施行当時の情報です。)
第六条 次の各号のいずれかに該当する事業所若しくは事務所(以下単に「事業所」という。)又は船舶を適用事業所とする。
一 次に掲げる事業の事業所又は事務所であつて、常時五人以上の従業員を使用するもの
イ 物の製造、加工、選別、包装、修理又は解体の事業
ロ~タ略
レ 弁護士、公認会計士その他政令で定める者が法令の規定に基づき行うこととされている法律又は会計に係る業務を行う事業
(健康保険法も同様)
第一条の二 法第六条第一項第一号レの政令で定める者は、次のとおりとする。
一 公証人
二 司法書士
三 土地家屋調査士
四 行政書士
五 海事代理士
六 税理士
七 社会保険労務士
八 沖縄弁護士に関する政令(昭和四十七年政令第百六十九号) 第一条に規定する沖縄弁護士
九 外国法事務弁護士
十 弁理士
(健康保険法施行令も同様)
厚生労働省:年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要(令和2年法律第40号、令和2年6月5日公布)(PDF)
日本年金機構:健康保険・厚生年金保険の適用事業所における適用業種(士業)の追加(令和4年10月施行)
士業の特徴とは
士業の法人設立が増加しているようですが、個人経営を選択している場合も多いようです。
個人事務所では有資格者のつながりが緩やかなことが多く、また、資格によっては経営者側か雇用される側かの登録が必要がないため実態で判断せざるを得ない場合があります。そのため社会保険の適用については、事業所の単位や加入する対象者を整理しなければならないこともあるようです。
参考:厚⽣労働省から法律改正のお知らせ 個人事業所の適用に関するQ&A
〇共同代表の場合、社会保険の⼿続きはどのようになりますか︖(裏面Q3)
〇従業員が他の事務所と兼業しています。適⽤になりますか︖(裏面Q4)
事業所や経営者の枠組みや、常時雇用する労働者の判断で悩まれたときは、当事務所にご一報ください。社会保険適用のご委託時に、ご相談のうえ整理をして手続をいたします。
事業所の保険料負担と手当の整理
社会保険に加入すると、事業所と労働者が折半して保険料を負担します。厚生労働省による社会保険適用拡大特設サイトでは社会保険料かんたんシミュレーターで事業主負担分の保険料の試算を行うことができます。概算を知りたい場合には、試してみてください。
実際の納付は、労働者への給与と賞与に一定の保険料率をかけて算出した保険料に、事業主負担の保険料を合わせて翌月末までに行います。(参考:ページ内リンク給与と賞与の社会保険料)
弁護士・弁理士の先生向けサービス
当事務所では、弁護士・弁理士の先生向けに、労働者ごとに分けて事業主が負担する保険料を計算するexcelツールをご用意しています。問い合わせページから必要事項を入力してご依頼ください。
※お問い合わせ時点での法令、料率になりますのでご了承ください。
社会保険加入と年金制度
社会保険の加入時には、出産手当金や傷病手当金などの健康保険法の給付に目がいきがちですが、労働者の老齢年金という財産の形成という面もあります。また、障害年金、遺族年金の給付もいざというときの保険として認識しておくことになります。
日本年金機構のねんきんネットでは、本人の登録により年金見込額の試算や年金加入記録の確認ができます。
特に現在、国民健康保険(職域健康保険組合含む)の保険料相当を手当として支給している事業所様は、社会保険加入後の仕組み(メリットデメリット)を全体的にイメージして、労働者の方とお話しすることになろうかと思います。
令和3年8月時点の情報です。